自宅に隣接する山林にある墓地を整理し、新たにお寺の境内に改葬する依頼を頂きました。
これまでは土葬でしたが、以降はお寺にあるお墓が相応しいとのご判断です。
14基の竿石は移設し、埋まっている先祖の土葬のご遺骨は掘り出して火葬し新墓地へ改葬する事に決まりました。
予定通りに掘り出す事ができました。
80年前の土葬のもので形が残っております。さらに前のご先祖のものははっきりしない程度に土に戻っておりました。
これらを火葬して改葬の手続きをいたします。
また墓誌に彫刻する内容を決めるため、戸籍を用意して頂き、家系図を作成。
石塔にない方を墓誌に残して供養することに決まりました。この先祖をたどる作業はお施主様にとって重要な意味を含むと思います。
先祖墓を弊社に持ち帰り洗浄します。
水洗い、コケ落とし、汚れ落としを行い、乾燥させ、割れた石塔を上下にピンを入れ補修します。
新たな墓所についてお客様がお求めになりました。お寺の境内にご住職のお墓の正面に位置する申し分ない区画が空いておりました。
外柵石塔まで設置が終わりました。石塔は神奈川県真鶴で産出する本小松石です。独特の緑色をした美しい安山岩で、石材は先代の頃からお世話になっている地元の真鶴石材工業所さんにて加工し納めて頂きました。青手特級品の指定通り申し分ない石材でした。本小松石は採掘が減少しているそうですが、原石のストックはまだ大丈夫だと教えて頂きました。ただし大きい寸法は取れないそうです。今回の9寸角の石塔は納品まで時間が掛かりましたが、いい材料を揃えて頂き感謝です。墓誌は弊社に形の良い仙台石(石巻産出の粘板岩:記念碑に使われます)がありましたので、通常磨かないものが多いですが、文字をはっきり表現させる為、あえて表面を研磨して使わせて頂きました。
ここから先祖墓を固定していきます。
収まりの寸法について精度が求められます。今回は先祖墓をどう収めるかについての検討から設計が始まりました。
無事に仕上がり、ご家族ご親族が集まり晴天の中でご納骨を終える事ができました。
私のこれまでの経験の集大成と言える内容でした。このお墓のすぐ近くに我が家の墓所があります。父も完成を見守ってくれたでしょうか。こうしたご縁を頂き、お施主様にも心から感謝しております。